この記事を書こうと思った理由
この記事を開いてくださり、ありがとうございます。
はじめまして、ヒカルと申します。
私は何年も公認会計士試験の受験を続けた末、最終的に撤退する決断をしました。
この記事を書こうと思った理由は、これから公認会計士試験を受験しようと考えている方や、受験を続けるか撤退するかで悩んでいる方に向けて、自分の失敗経験が少しでも参考になればと思ったからです。
公認会計士試験に関する情報を調べると、大手予備校のサイトには合格体験談が数多く掲載されています。一方で、試験に挑戦したものの結果的に合格に至らなかった人のリアルな話は、ほとんど見つかりません。
仮に「失敗談」として紹介されているものがあっても、多くは最終的に合格した人の途中経過にすぎず、長年時間と労力を費やした末に撤退した人が、受験期に何を感じ、撤退後にどのような現実と向き合ったのかについて語られることはほぼありません。
だからこそ、実際に失敗を経験した立場の人間として、これから受験する方に伝えられることがあるのではないかと考え、この記事を書くことにしました。
公認会計士試験に失敗したと感じた瞬間
公認会計士試験に合格すれば、予備校の合格祝賀会に参加できたり、監査法人に就職して安定した収入を得られたりと、合格後のキャリアは非常に魅力的だと思います。
一方で、その結果にたどり着くまでの過程は想像以上に厳しく、表に出てくる合格者の裏で、多くの人が静かに撤退しているのも事実です。
私自身が受験勉強を続ける中で「この試験は自分には向いていないのではないか」と強く感じるようになった一番の理由は、自分と公認会計士試験の相性の悪さでした。
それに気づいたのは、勉強を始めてから3年ほど経った頃です。私はもともと細かい作業が得意ではなく、計算科目においても、問題文や資料の中で本来読むべき箇所を飛ばしてしまったり、下書きを雑に書いてしまったりする癖がありました。結果として、知識自体は身についているにもかかわらず、ケアレスミスによって点数を落とすことが何度もありました。
これは勉強法や努力量以前の問題で、自分の性格や特性と試験形式が合っていなかったのだと思います。細かい計算や大量の文章を正確に処理する力が求められる試験に対して、自分はその土台が弱かったのだと、今になって感じています。
もう一つ、失敗を強く意識するようになった理由として、近年の会計士受験生の増加があります。たとえば、2022年の短答式試験の受験者数は19,819人でしたが、2025年(令和7年)には23,463人と大きく増加しています。今後もこの傾向は続くと予想されます。
受験者数が増えるほど、合否を分けるのは難問ではなく、いわゆる基礎問題を確実に取り切れるかどうかになります。しかし、先ほど述べたように、雑さが抜けなかった自分にとって、「絶対に落としてはいけない問題を落とさない」ことは、年々厳しくなっていきました。
こうした背景も含めて振り返ると、自分がこの試験に失敗したと感じたのは、ある一瞬の出来事というよりも、「向いていない現実が少しずつ積み重なっていった結果」だったのだと思います。これから受験を考えている方には、勉強法だけでなく、自分の性格や特性がこの試験と合っているかどうかも、一度立ち止まって考えてみてほしいと感じています。
今振り返って分かる、失敗の原因
公認会計士試験は受験要件がなく、「人生一発逆転できる試験」と言われることがあります。そのため、失敗した人の中には「一発逆転を狙った動機そのものが失敗の原因だった」と振り返る人もいます。
ただ、私自身の経験や周囲の受験生を見てきた限りでは、受験の動機は合否を決める本質ではないと感じています。実際、合格した人の中にも「会計士になりたい」という強い使命感より、「将来の不安を減らしたい」「選択肢を増やしたい」「安定した仕事に就きたい」といった現実的な理由で始めた人は多くいました。
では、私が失敗した原因は何だったのか。今振り返って一番大きかったのは、自分に合わない勉強の回し方を、修正できないまま続けてしまったことです。
具体的には、インプット中心の学習に偏り、テキストを読んで「理解した気になる」時間が長くなっていました。本来なら早い段階から問題演習(アウトプット)で穴をあぶり出すべきなのに、「もう少し読んでから」「もう少し理解してから」と先送りしてしまったのです。結果として、試験本番で必要な“解く力”が最後まで安定しませんでした。
そのアウトプット不足は、答練の場面で明確に表面化しました。
まず一つは、時間切れです。知識としては見覚えのある論点なのに、実際に解くスピードが追いつかず、最後まで解き切れないことが何度もありました。テキストを読んで理解したつもりでも、「制限時間内に答案としてまとめる力」が全く足りていなかったのだと思います。
また、過去に一度解いたことのある問題や、構造がよく似た問題が出題されたにもかかわらず、本番では解けないという経験も繰り返しました。解法の流れを身体で覚えるほど演習を積めていなかったため、少し形が変わるだけで対応できなくなっていたのです。
さらに致命的だったのは、いわゆる基礎問題を落としてしまったことです。難問に歯が立たないならまだしも、「これは落としてはいけない」と分かっている問題でミスを重ねてしまい、自分の中で強い違和感と焦りを感じるようになりました。今振り返ると、基礎問題を安定して取り切るだけのアウトプット量が、明らかに足りていなかったのだと思います。
さらに、自分は集中力が長く続くタイプではないのに、「長時間机に向かえる人が正しい」という思い込みで無理に詰め込み、勉強時間が伸びた日に限って質が落ちる、あるいは翌日に反動で手が止まる——といった非効率な波を作ってしまいました。
公認会計士試験は、多くの人が初学者としてスタートします。そこで差がつくのは、才能や根性論というよりも、自分の特性を踏まえた勉強法を組み立て、継続できるかどうかだと思います。私の場合、自己分析が不十分なまま「一般的に良いと言われている方法」をなぞり続け、必要な修正をかけられませんでした。
まとめると、私の失敗の原因は「動機が弱かったから」ではなく、自分の性格・集中力・得意不得意に合った学習設計を作れないまま、インプット偏重と詰め込みの癖を放置したことだったと考えています。今振り返ると、勉強法を探す前に、自分が「長時間型なのか」「短時間の積み上げ型なのか」「演習で伸びるタイプなのか」をもっと早い段階で意識できていれば、結果は違っていたのかもしれません。
これから受験する人に伝えたい注意点
ここまで、私自身が公認会計士試験に失敗した原因について書いてきました。
ここからは、「こうすれば受かる」といった話ではなく、実際に失敗した立場だからこそ、受験前や受験中に一度立ち止まって考えてほしかったことをいくつか書いていきたいと思います。
一つ目は、勉強量そのものよりも、勉強がどのように回っているかを定期的に確認することです。もちろん勉強量は重要ですが、公認会計士試験はテキストや問題集の量が非常に多く、全科目を一周するだけでも2〜3か月かかってしまうことも珍しくありません。その結果、「とりあえず読むだけ」で終わってしまい、反復やアウトプットが十分にできていないまま時間だけが過ぎていく、という状態に陥りやすいと感じました。
私自身も、インプットとアウトプットのバランスを客観的に把握できておらず、答練で過去に見たことのある問題が解けていない、あるいは本来落としてはいけない基礎的な問題を落としている、という状況を見過ごしてしまっていました。勉強時間が増えているかどうかよりも、当時の自分は「解ける状態になっているか」を冷静に確認できていなかったのだと思います。
二つ目は、「自分はこの試験に向いているのか」を、定期的に見直すことです。これは早ければ早いほど良い、というのが正直な感想です。会計士試験は一度始めると、「ここまでやったのだから」「もう少し続ければ」という気持ちが強くなり、やめ時を見失いやすい試験だと思います。私自身もその状態に陥り、結果的にズルズルと受験期間を長引かせてしまいました。
例えば、細かい作業や計算が強いストレスになっていないか、長時間集中する前提の勉強スタイルが本当に自分に合っているのか、活字を大量に読むことに無理を感じていないか、ミスの傾向が改善している実感はあるか──こうした点を、一度立ち止まって考えてみることは無駄ではないと思います。もちろん、これらに当てはまるからといって「向いていない」と即断する必要はありません。ただ、続けるにしても、やめるにしても、自覚的に選択することはとても大事だと感じました。
三つ目は、「撤退を考えること」は決して逃げではない、ということです。これは実際に撤退してから気づいたことですが、受験中は「合格しなければ意味がない」と極端に考えてしまいがちでした。しかし、積み重ねてきた勉強が、就職の場面で経理分野に活かせたり、簿記一級の学習につながったりと、後になって意味を持つ場面は確かにありました。
撤退を勧めたいわけでも、「嫌ならやめればいい」と言いたいわけでもありません。ただ、長期間受験を続けている人ほど、「合格できなければ全てが無駄になる」という思い込みに縛られやすいと感じています。続けるか、方向を変えるか、そのどちらを選ぶにしても、これまでの努力が完全に消えてしまうわけではない、ということは伝えておきたいです。
公認会計士試験は、続けること自体が目的になる試験ではありません。自分の人生の中で、この試験とどう向き合うかを一度考えたうえで、納得のいく決断をしてもらえたらと思います。
このブログでこれから書いていくこと
この記事は、あくまで公認会計士試験に失敗した一人の受験生の体験談です。
「こうすれば受かる」「この勉強法が正解だ」といった合格のためのアドバイスをするつもりはありませんし、そうした情報については、予備校や指導してくれる立場の方に聞くのが一番だと思っています。
その一方で、このブログは、これから受験を考えている方や、すでに受験中で壁にぶつかっている方を必要以上に怖がらせたいわけでもありません。公認会計士試験は確かに厳しい試験ですが、それを乗り越えた先に良いキャリアが広がっているのも、また事実だと思っています。
ただ、受験の途中でうまくいかなくなったときや、「このまま続けて大丈夫なのか」と悩んだときに、合格者の体験談だけを読んでいると、自分の状況と重ねられず、余計に苦しくなることもあるのではないでしょうか。そうした場面で、失敗した側の視点や考え方を知ることが、原因を整理したり、自分の立ち位置を見直したりするきっかけになることもあると思います。
このブログでは、私自身が公認会計士試験に挑戦する中で感じた違和感や後悔、うまくいかなかった理由、そして撤退を決めるまでの過程を、できるだけ正直に書いていきます。誰かを否定したり、受験そのものを否定したりするつもりはありません。ただ、自分の失敗談を共有することで、今まさに受験に悩んでいる人が「自分の場合はどうなのか」を考える材料になれば、それで十分だと思っています。
公認会計士試験に挑戦すること自体は、決して間違いではありません。続ける選択も、立ち止まる選択も、どちらも一つの判断です。このブログが、そうした判断をする際に、少しだけ視野を広げる存在になれば嬉しいです。

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